テレビのニュースを見ていたら、低予算の映画ながらに口コミで話題になって『カメラを止めるな!』のように上映館数が全国に拡大した映画があると取り上げていた。それが安田淳一監督の『侍タイムスリッパー』だった。たしかにあちこちのシネコンでも上映していて、ユナイテッド・シネマ浦和でも1日1回だけ上映していたので観てみた。
幕末の会津藩士が現代にスリップして京都にある時代劇のセットに迷い込み、そこで「斬られ役」として生きていく主人公を描くことで、斜陽となってしまった時代劇への愛情を示すストーリーの設定は面白かった。それに「斬られ役」に代表される大部屋俳優への賛歌にもなっていたところもとても良かった。無名でもすばらしい俳優たちが数多くいることをこの映画自体が示しているところは時代劇の痛快さに通ずるところがあった。
ただ、全体的にきっちりと真面目に撮りすぎていて、それはそれでこのような低予算の映画には大切なことだとはおもうけれど、『カメラを止めるな!』が良かったのはちょっといい加減なところだったんだなあ、と云うことを再認識してしまった。でもそこは個人的な見解で、上映館数が広がるほどのとてもおもしろい映画であることには間違いなかった。
→安田淳一→山口馬木也→未来映画社/2024→ユナイテッド・シネマ浦和→★★★☆