監督:リドリー・スコット
出演:ポール・メスカル、ペドロ・パスカル、コニー・ニールセン、ジョセフ・クイン、フレッド・ヘッキンジャー、デレク・ジャコビ、リオル・ラズ、ティム・マッキナリー、デンゼル・ワシントン
原題:Gladiator II
制作:アメリカ、イギリス/2024
URL:https://gladiator2.jp
場所:MOVIXさいたま
リドリー・スコットが2000年に撮った『グラディエーター』の続編が24年の時を経てやってきた。リドリー・スコットはもう86歳なのにここのところの精力的な映画製作にはもうびっくりするばかり。
リドリー・スコットが作る史劇はデビュー作の『デュエリスト/決闘者』からはじまって『1492 コロンブス』『グラディエーター』『キングダム・オブ・ヘブン』『ナポレオン』と面白い映画ばかり。基本的には、そんな歴史があったのか! と簡単に刺激されてしまうので、もしかするとどんな史劇でも面白がって観てしまうんだろうとおもう。
今回の『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は前作の『グラディエーター』で描かれたマルクス・アウレリウス帝からコンモドゥス帝へと受け継がれた時代から数十年後のストーリーで、時代はゲタ、カラカラ兄弟の共同皇帝時代に移っている。「カラカラ」ってどこかで聞いたことがあるなあ、とネットを調べてみたら、古代ローマ帝国の浴場として有名な「カラカラ帝の大浴場」の「カラカラ」だった。カラカラ帝は暴君として有名らしく、この映画に出てくるカラカラ帝(フレッド・ヘッキンジャー)も風貌からしてエキセントリックで危ない人物として描かれていた。ただ、前作と同様に、史実をそのまま映画として作り上げたわけではなくて、歴史上存在した「グラディエーター(剣闘士)」がどのようなものだったのかをドラマティックに見せるために史実を借りた映画になっている。ゲタ帝(ジョセフ・クイン)やカラカラ帝の他に、マルクス・アウレリウス帝の娘ルッシラ(コニー・ニールセン)や元老院議員の身分を持たずに即位した最初のローマ皇帝であるマクリヌス(デンゼル・ワシントン)のような歴史に実在するキャラクターも登場するが、その人物像はほとんどがフィクションだった。
この映画は、そんな歴史があったのか! の史実を見る映画ではないのだけれど、とにかくその時代を再現しようとする美術や舞台設定などプロダクション・デザインがすばらしかった。「グラディエーター」の剣闘シーンはもちろんのこと、サイに乗った「グラディエーター」との戦い、コロッセオに水を張ってサメを泳がせ、その上でガレー船での海戦を再現させるシーンなど、むかし、ウィリアム・ワイラー監督『ベン・ハー』(1959)の戦車競争で興奮した感覚を、現在の技術でバージョンアップさせて再現したような映画的興奮はさすがのリドリー・スコットだった。
カラカラ帝のあとのローマ帝国は混乱を極めて行き、約50年のあいだに26人もが皇帝に就く軍人皇帝時代になって行く。このあたりの時代のなかでの「グラディエーター」の続編を見てみたい気もするけれど、86歳になってしまったリドリー・スコットでは無理かなあ。
→リドリー・スコット→ポール・メスカル→アメリカ、イギリス/2024→MOVIXさいたま→★★★★