監督:山崎エマ
出演:世田谷区立塚戸小学校の子どもたち、先生たち
制作:日本、アメリカ、フィンランド、フランス/2023
URL:https://shogakko-film.com
場所:シネスイッチ銀座

2020年10月ごろからプログラミング授業のサポートで文京区の小学校へ行っている。文京区の小学校は全部で20校あって、そのうちの16校は、6年生の総合学習の4時間を使ってロボットのプログラミング授業を行っている。そのほか、20校のうちの4校くらいも3年生、4年生、5年生で総合学習の2時間を使ってScratchを使ったプログラミング授業を行っている。それらの授業のサポートをしているのだ。

これだけ多くの学校の、そしていろんな学年のクラスへじかに足を踏み入れてみると、東京都23区のど真ん中にある文京区の小学校で起きていることがすべてとは云えないけれど、いまの小学校の子どもたちのことがよくわかって来る。ASD(自閉スペクトラム症)を持つ子どもたち、学校には行けるけれど教室には入れない子どもたち、学校に行けなくて教育センターへ来てプログラミング学習をする子どもたち。文京区の小学校にも礼儀正しくて、前向きで、活発な子どもたちはたくさんいるのだけれど、どうしても目が行ってしまうのはそのような特殊な事情の子どもたちのことばかり。自分の小学生のころとくらべても、そうした子どもたちは増えているのかなあ。それはよくわからない。

そうした目を持ってしまった人間が山崎エマ監督のドキュメンタリー映画『小学校 〜それは小さな社会〜』を観ると、ああ、これは世田谷区立塚戸小学校の持つ良い面を綺麗に描いているなあ、とまずはおもってしまう。そう、どこの学校にもしっかりと課題に取り組む子どもたちはいて、失敗して泣きながらも先生のサポートを得ながら目標をクリアする姿は美しい。そこへ焦点を合わせたドキュメンタリーとしてこの映画は面白かった。そして、この映画の謳い文句にもなった「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」に表されるような、海外から見ると特異な日本の教育方法をあらためて見つめ直すのには良い映画だとおもう。

でも、おそらくこの塚戸小学校にも、いろいろと複雑な問題を抱えた子どもたちはいて、その方面からのドキュメンタリーもこの映画と一緒に2本立てで観たいともおもってしまった。

→山崎エマ→世田谷区立塚戸小学校の子どもたち、先生たち→日本、アメリカ、フィンランド、フランス/2023→シネスイッチ銀座→★★★☆