監督:藤野知明
出演:藤野雅子、藤野知明
制作:動画工房ぞうしま/2024
URL:https://dosureba.com
場所:池袋シネマ・ロサ

一昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で話題になった藤野知明監督の『どうすればよかったか?』が劇場公開されることになって、さっそく観に行こうとおもったら、なんとポレポレ東中野では連日超満員。そんなに話題になっていたのか! とびっくり。なかなか観に行くことができずにいたけれど、これほどの人気なので上映館も増えて、池袋シネマ・ロサではゆったりと観ることができた。

藤野知明監督の姉は両親の影響から医師を志して医学部に進学する。ところがある日、突然、事実とはおもえないことを叫び出し、統合失調症が疑われることになった。しかし医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけてしまった。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明監督は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れてしまった。その18年後、このままでは何も残らないと考えた藤野知明監督は、帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。

統合失調症がどういうものなのか、電子書籍関係でほんのちょっとだけSNSで知り合った語研の高島利行さんがご自身のことを書かれていたnoteを読んで、少しは理解しているつもりでいる。そのnoteはまとめられて「シネシネナンデダ日記 統合失調症の娘と生きる」と云う本になっている。

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784807421022

昔ならば、家庭内に精神に障害を持つ人がいれば、それを恥ずべきこととしてひた隠しにしていたようおもう。ところが最近では、ブログやSNSなどでオープンにする人が出てきた。高島利行さんの「シネシネナンデダ日記」はそのはしりのような気がする。藤野知明監督のドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』も、オープンにして多くの人と情報を共有しよう、の気概を感じることができる。自分たちがやってきたことは失敗例です、どうすればよかったか? みんなで考えてほしい、と訴えている。

「シネシネナンデダ日記」でも書かれていたように、統合失調症の症状の出た人にぴったりと合う薬を見つけることがとても重要で、それは一律にいかないところが難しいらしい。藤野知明監督の姉もやっと合う薬が処方されて、晩年はある程度は落ち着いているように見えた。それがもうちょっと早く処方されていたら、とおもえなくもない。

どうしたって両親の行いを責めたくはなるのだけれど、彼らが今までの日本社会で、息子がこれからの日本社会だと考えて納得するしかない。

→藤野知明→藤野雅子→動画工房ぞうしま/2024→池袋シネマ・ロサ→★★★★