her/世界でひとつの彼女

監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、ポーシャ・ダブルデイ、スカーレット・ヨハンソン
原題:Her
制作:アメリカ/2013
URL:http://her.asmik-ace.co.jp
場所:109シネマズ川崎

『her/世界でひとつの彼女』に出て来るコンピュータのOS「OS1」は、すべてを会話によってオペレーションしてくれるOSで、最近のiPhoneの「Siri」やNTTドコモの「しゃべってコンシェル」のような疑似的対話ができるアプリケーションが人工知能によって進化して、それがOSに組み込まれて、まるで本当の秘書のような、コンシェルジュのような機能を持つこととなったOSだ。そのOSに恋をしてしまうと云うのがこの映画の基本的なストーリーラインだけど、おもったよりもそこに食い付くことが出来ず(それはオペレーターの声のスカーレット・ヨハンソンにウディ・アレンの『マッチポイント』を見てしまうためか!)、どちらかと云うと、どんどんと知識を蓄えてエスカレートして行く人工知能型OS「OS1」に注意が向いてしまう。

SF映画の中に出て来る人工生命体は暴走するものが多い。それが自由なネット空間に存在するのならばまだわからないでもないけど、ユーザーとOSとの間に介在するためだけの人工知能型エージェントが暴走する設定がイマイチよくわからない。どうしてシステム自体を再起動させる権限まで許して、さらに他のコンピュータと通信することのできる権限まで許してしまっているのか。そんなOSを作るソフトウェア開発会社があるとはおもえない。なんて細かいところに引っかかってしまったら、ものごとをデフォルメして映像化する映画なんて楽しめなくなってしまうので、そこは何とか気にしないようにしたけど、でも、そんな暴走して行くような無形のソフトウェアを愛するようになる男に感情移入をすることはまったく出来なかった。やはり2次元でもいいから、視覚で認識できるものありき、なんだろうか。

→スパイク・ジョーンズ→ホアキン・フェニックス→アメリカ/2013→109シネマズ川崎→★★★☆