ジゴロ・イン・ニューヨーク

監督:ジョン・タートゥーロ
出演:ジョン・タートゥーロ、ウディ・アレン、バネッサ・パラディ、リーブ・シュレイバー、シャロン・ストーン、ソフィア・ベルガラ、ボブ・バラバン
原題:Fading Gigolo
制作:アメリカ/2013
URL:http://gigolo.gaga.ne.jp
場所:新宿武蔵野館

ストーリーの入り方はまるでウディ・アレンの映画のようだった。代々続いて来たブルックリンの本屋を潰してしまったウディ・アレンが、かかりつけの皮膚科の女医から「レズビアンのパートナーとのプレイに男を入れたい」と相談を持ちかけられる。ウディ・アレンは友人のジョン・タートゥーロをその男娼に仕立て上げるが、これがおもっていたよりも有閑マダムたちに人気となってしまって大成功。さあ、ここからが、旨い話は長く続かないのが世の常で、おもわぬ落とし穴にはまって転落へ向かってのドタバタがはじまって大騒動、となるのがウディ・アレンの映画で、軽快なテンポで笑わせてくれるのを期待するのが彼の映画だった。でも、ジョン・タートゥーロの映画はそうはならなかった。高名なラビの未亡人であるバネッサ・パラディを登場させて、厳格なユダヤ教徒であるがゆえのジョン・タートゥーロとの純愛へとストーリーは進んで行ってしまう。

となると、ウディ・アレンのキャラクターがウディ・アレンの映画に出てくるキャラクターそのものにしか見えないので、せかせかと動き回る道化のウディ・アレンは何のために存在しているのかまったくわからなくなってしまう。バネッサ・パラディに対してずっと想いを寄せているパトロール警官のリーブ・シュレイバーとのドタバタもウディ・アレンの映画ならば笑わせるポイントなんだろうけど、これがぽっかりと浮いてしまっていてまったく笑えない。そもそも笑う映画ではないのか? でもウディ・アレンの演技からすればウディ・アレンの映画のように笑いたいよなあ。それが笑えない苦しさ。なんとも中途半端な映画となってしまった。

→ジョン・タートゥーロ→ジョン・タートゥーロ→アメリカ/2013→新宿武蔵野館→★★★