監督:アントン・コービン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト、グレゴリー・ドブリギン、ニーナ・ホス、ダニエル・ブリュール、ホマユン・エルシャディ
原題:A Most Wanted Man
制作:アメリカ・イギリス・ドイツ/2013
URL:http://www.nerawareta-otoko.jp
場所:新宿武蔵野館
フィリップ・シーモア・ホフマンが今年の2月2日に亡くなった。まだ46歳の若さだった。彼を意識し出したのは、おそらくポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』あたりだとおもう。そして『カポーティ』で決定的となって、『その土曜日、7時58分』『脳内ニューヨーク』『ザ・マスター』と彼の演技の鬼気迫る凄さに夢中になってしまった。特にポール・トーマス・アンダーソンの『ザ・マスター』の演技はどこか異次元に行ってしまったかのような神々しさを感じて、この人、ちょっとヤバいんじゃないのか、とおもったくらいだ。それが的中してしまったかのように今年、薬物の過剰摂取で逝ってしまった。
そのフィリップ・シーモア・ホフマンの遺作(厳密に云えば『ハンガー・ゲーム3』になるのかな)は、彼としてはフツーの演技の映画ではあるけれども、ジョン・ル・カレが原作なので男の哀愁が甚だしく、亡くなってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンに重ね合わせてしまって余計にしんみりしてしまった。まあ、ドイツのテロ対策チームを率いる人間にはまったく見えないんだけどね。ドイツ人にも見えないし、肉体的にも精神的にもギリギリのプレッシャーに耐えうる人間の体躯にも見えないし。
CIAに出し抜かれて作戦が失敗するフィリップ・シーモア・ホフマンの最後のセリフが「FUCK!」の絶叫だった。まるで亡くなった彼が自分の死に様について絶叫しているようだった。
→アントン・コービン→フィリップ・シーモア・ホフマン→アメリカ・イギリス・ドイツ/2013→新宿武蔵野館→★★★☆