日曜日の人々

監督:ロバート・シオドマク、エドガー・G・ウルマー
出演:ブリギッテ・ボルヒャルト、ヴォルフガンク・フォン・ヴァルタースハウゼン
原題:Menschen am Sonntag
制作:ドイツ/1930
URL:
場所:本郷中央教会

ユダヤ人であるためにナチスから逃れてハリウッドに渡ったロバート・シオドマクと、F・W・ムルナウと一緒にハリウッドへ渡って「B級映画の王様」と呼ばれるようになるエドガー・G・ウルマーが、まだアマチュアだったドイツ時代に撮った『日曜日の人々』は、脚本がビリー・ワイルダー、撮影助手がフレッド・ジンネマンと云う、今から考えるととても豪華なスタッフの映画。

1930年ごろのドイツ映画と云えばフリッツ・ラングやF・W・ムルナウなどの表現主義の映画を真っ先におもい浮かべるわけで、この映画もその影響が多分にあるのかとおもって構えて見たらその気配はまったくなく、どちらかと云えば戦後イタリアのネオリアリズモのような映画だった。同時に、ところどころに当時のベルリンの人々の日常風景も挟み込まれ、一般の人々を正面から捉えたクローズアップなども一緒に挿入されて、ドキュメンタリー映画のような体裁の映画でもあった。

このようなドラマ部分とドキュメンタリー部分がミックスされた映画をどこかで見たよう気がして、映画的記憶にサーチをかけて答えを見つけようとしたけれどまったくわからず、家に帰ってからネットを駆使しながらおもいを巡らせていたら突然とおもい出した。ロバート・フラハティの映画だ!

ロバート・フラハティはドキュメンタリー映画の父と呼ばれ、2年に1回開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭の大賞は「ロバート・フラハティ賞」と呼ばれている。そのロバート・フラハティの映画は『アラン』しか見たことがないんだけど、それがドラマのような、ドキュメンタリーのような映画だった。

さらにいろいろと調べてみると、フレッド・ジンネマンはロバート・フラハティに影響を受けているらしい。エドガー・G・ウルマーの師匠F・W・ムルナウはハリウッドに渡ってからロバート・フラハティと一緒に『タブゥ』を撮っている。おお、どんどんと繋がって行く。エドガー・G・ウルマーやフレッド・ジンネマンが当時、どれだけロバート・フラハティの映画を見ていたのかわからないけれど、何かしら影響があったんじゃないかと推測している。積ん読の状態のままにしている「フレッド・ジンネマン自伝」を早く読まねば。

本郷中央教会での『日曜日の人々』の上映は、ピアニストの柳下美恵さんが毎年行っている「聖なる夜の上映会」の8回目だった。古い教会の中でピアノ伴奏(+菊池かなえさんのフルート)付きのサイレント映画を観るのはなかなかお洒落な感じで毎回のリピーター客も多いらしく(漫画家の今日マチ子さんもそうらしい!)150席が満席だった。礼拝堂の椅子がちょっと固いので背中が痛くなってしまったのだけれど。

→ロバート・シオドマク、エドガー・G・ウルマー→ブリギッテ・ボルヒャルト→ドイツ/1930→本郷中央教会→★★★☆