ふがいない僕は空を見た

監督:タナダユキ
出演:永山絢斗、田畑智子、窪田正孝、小篠恵奈、田中美晴、三浦貴大、梶原阿貴、吉田羊、藤原よしこ、山中崇、山本浩司、銀粉蝶、原田美枝子
制作:「ふがいない僕は空を見た」製作委員会/2012
URL:http://www.fugainaiboku.com/
場所:新宿武蔵野館

予告編を観たかぎりでは、アニオタでコスプレ好きの主婦が男子高校生と不倫をして修羅場となってしまう映画としかおもえなかったのだけれど、それはこの映画(と云うか、おそらく原作)のほんの一部で、生命とか人間の本質とか、そんなところの壮大なテーマを扱っている映画だった。でも、そうだとすると、永山絢斗と田畑智子のセックス描写が長過ぎて、本題を語る上での導入部としてはあまりにも頭でっかちになってしまっている。だから映画の後半で、永山絢斗の同級生である窪田正孝や小篠恵奈が、優しさが弱さに繋がって意地悪さに転換したり、それを後悔してまた優しさに戻ったりする部分の、グラグラと揺れている心情描写がとても中途半端に見えてしまう。さらに、永山絢斗の母親である原田美枝子があまりにも息子の不倫騒動に介在しないので、そのクールさはトラブルに対応する当事者の心の持ち方としてはかっこ良さを感じるのだけれども、映画全体として見ればそれぞれのエピソードが分断してしまっているように見えてしまう。助産師である原田美枝子のサポートをする梶原阿貴のぶっきらぼうな快活さも、ものすごく良いいんだけど、とても笑えるんだけど、ああ、残念ながら、映画からは浮いてしまっている。

この映画は2012年のキネ旬ベストテンの7位にランクされたようなので、以上のような感想を持つ人はあまりいないのかもしれないんだけど、でも、やっぱり、うーん、いまひとつだよなあ。

→タナダユキ→永山絢斗→「ふがいない僕は空を見た」製作委員会/2012→★★