監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:カメル・アブデリ、ゾーエ・ブリュノー、エロイーズ・ゴデ、ロクシー・ミエヴィル
原題:Adieu au Langage
制作:フランス/2014
URL:http://godard3d.com
場所:シネスイッチ銀座
何度も云うようだけれど、3Dの映画なんて、お化け屋敷とか、フリークショーとか、見世物小屋の出し物と同じなんだから、それ前提にして作ってもらわないとまったく無意味な3D映画が出来てしまう。今までそれをちゃんとわかっていたのは、私が観た範囲ではマーティン・スコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』、松江哲明の『フラッシュバックメモリーズ 3D』、ジャン=ピエール・ジュネの『天才スピヴェット』だけだった。そして今回、そこにゴダールが加わった。
現在の3D技術が最も得意とするところは、手前から奥への遠近感の立体化で、手前に物体を置いて、中間位置に何かしらの被写体、そして奥に背景があるとその3D感がとても引き立つ。ゴダールはその遠近感の3Dをこの映画でとことんやり尽くしている。だから、劇映画を3D化してみました! と云うような中途半端なものではまったくなくて、どちらかと云うと、どこをどのようにしたらより良い効果的な3Dになるんだろうか、を検証するための実験映画だった。そこにゴダール特有の難解なセリフやダイアローグがかぶさって、理性も言語もないからこそ世界をありのままに見ることができる犬への憧れを語っているようにも見えるけど、まあ、そんな部分はどうでも良くて、3Dのコラージュを単純に楽しめば良い映画だった。あまりにもやり過ぎていて、観ているこっちの眼の視点が混乱して、めちゃくちゃ疲れる映画ではあるのだけれど。
→ジャン=リュック・ゴダール→カメル・アブデリ→フランス/2014→シネスイッチ銀座→★★★☆