プリデスティネーション

監督:マイケル&ピーター・スピエリッグ
出演:イーサン・ホーク、サラ・スヌーク、ノア・テイラー、フレイヤー・スタッフォード、クリストファー・カービイ、ロブ・ジェンキンス、マデリーン・ウエスト、ジム・ノベロック、クリストファー・ストーレリー
原題:Predestination
制作:オーストラリア/2014
URL:http://www.predestination.jp
場所:渋谷TOEI

タイムトラベルの映画には絶えずパラドックスが付きまとう。だから、タイムトラベルと云う行為は絶対に不可能なんだと、いろいろな映画を見るたびにますます確信へと変わって行く。それなのに、その矛盾をなんとか回避しようと勝手なルールがいくつか存在する。その最もたるものが、過去へタイムスリップした時に自分自身とは会ってはいけない、と云うルールだ。でもそんなルールはいったい何の理論を元に決められたものだろう。なーんとなく、それはダメなんじゃないか、と云った曖昧なところから来ているに違いない。タイムトラベルが理論としてあり得ないのなら、そのようなルールは馬鹿げたことだ。

だったら、そんなルールはくそくらえ、と云う映画があっても良い。あやふやな理論を元にして成り立っているルールなら、そんなの無視して、どんどんと過去の自分に会っちゃえ、と云うタイムトラベルの映画があっても良い。

スピエリッグ兄弟の『プリデスティネーション』はまさにそんな映画だった。自分に会うどころか、自分の運命さえも自分で決めてしまっている。過去から未来へと向かう人生のタイムラインを歪曲させて繋ぎ合わせ、その中を行きつ戻りつ、複雑な軌道を描いて回転しているようだった。主人公のイーサン・ホークが云うように、自分の尻尾を喰う蛇のストーリーだった。

原作はロバート・ハインラインの『輪廻の蛇』。以下のブログのとてもわかりやすいストーリーの要約を読むと、映画は原作にとても忠実だったことがわかる。

http://hontama.blog.shinobi.jp/コラム「たまたま本の話」/第54回%E3%80%80「輪廻の蛇」と性転換(ロバート・アンソン・

ちょっと複雑なストーリーだけど、先の読めない展開はとててもわくわく、スリリングだった。

→マイケル&ピーター・スピエリッグ→イーサン・ホーク→オーストラリア/2014→渋谷TOEI→★★★☆