監督:ジェームズ・マーシュ
出演:エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、マキシン・ピーク、チャーリー・コックス、エミリー・ワトソン、ガイ・オリヴァー=ワッツ、サイモン・マクバーニー、アビゲイル・クラッテンデン、ハリー・ロイド
原題:The Theory of Everything
制作:イギリス/2014
URL:http://hakase.link
場所:109シネマズ川崎
エディ・レッドメインがスティーヴン・ホーキング博士を演じて、今年のアカデミー主演男優賞を獲った映画。
今までの経験から云って自伝映画に期待を寄せることはあまりないのだけれど、最近で云ったらエディット・ピアフの自伝映画『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』とか、たまに当たりの映画がある。今回の『博士と彼女のセオリー』は当たりだった。
この映画はスティーヴン・ホーキング博士の最初の妻であるジェーンの回顧録「Travelling to Infinity: My Life with Stephen」をベースにしている。だから、ホーキング博士の業績にスポットライトが当たるのではなくて、ジェーンとホーキング博士との関係を描くことがメインとなっている。この関係性が面白かった。特に、病気を発症してから自由の効かなくなったホーキング博士の家族をサポートするピアノ講師のジョナサンも含めた奇妙な三角関係がまるでトリュフォーの映画を見ているようだった。
さらにホーキング博士を世話する介護士のエレイン・マッソンも含めた四角関係に発展して行き、結局はホーキング博士と離婚したジェーンはジョナサンと再婚する。ホーキング博士はエレイン・マッソンと再婚する。この一見するとドロドロとした男女の愛憎劇が、情念のまったく欠如したクールな関係として描かれているところが、ホーキング博士とジェーンの頭の良さを象徴していて、それはすなわちホーキング博士の、人間性はともかく、偉大な業績を生み出す基盤とも見えるところがこの映画の面白さだった。
監督は『マン・オン・ワイヤー』でアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞したジェームズ・マーシュ。ドキュメンタリー映画と劇映画の撮り方は微妙に違うとおもうけど、やはりドキュメンタリー映画は「映画界の頂点捕食者」であって、ドキュメンタリーを巧く撮ることの出来る人は、劇映画も巧く撮ることが出来ることをしっかりと実証していた。
→ジェームズ・マーシュ→エディ・レッドメイン→イギリス/2014→109シネマズ川崎→★★★★