Mommy/マミー

監督:グザヴィエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリヴィエ・ピロン
原題:Mommy
制作:カナダ/2014
URLhttp://mommy-xdolan.jp
場所:新宿武蔵野館

25歳のグザヴィエ・ドラン監督の5本目の映画。

カンヌ映画祭で評価されるだけあって、独特な映像スタイルを持っていて、その部分に共鳴できるかどうかがグザヴィエ・ドランの映画を好きになれるかどうかの分かれ目だろうけど、なんだろう、そんなキレイな映像が少し鼻に付いてしまった。情緒的に不安定なADHD(注意欠如・多動性)の主人公を扱うには、スタイリッシュな構図がどうしても相反しているようにも見えてしまって、絶えず居心地の悪さを感じながら映画を観続けてしまった。このような題材は、映像的にももっと破綻しているべきで、泥臭い映像にこそリアルさがあるんじゃないかとのおもい込みが自分には強すぎるのかもしれない。

スクリーンに映し出される映画の画面の縦横比はまるでスマホのような比率で、それが時おり普通のビスタサイズに広がる解放感は素晴らしかった。そしてそれを元のスマホ比率に戻すテクニックもとても巧いけど、それがADHDの男の子の内面的感情ときっちりと同調していなかったのはちょっと残念。

カナダ映画には、クローネンバーグやエゴヤンやドゥニ・ヴィルヌーヴがそうだけど、どこか北の国の冷たさがいつも付きまとっていて、それが自分の心の奥底にある澱んだ冷たさと同調して気持ちが良いのだけれど、グザヴィエ・ドランにはそれをまったく感じなかった。カナダ映画の新しい世代なんだろうなあ。

→グザヴィエ・ドラン→アンヌ・ドルヴァル→カナダ/2014→新宿武蔵野館→★★★