監督:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー
原題:Amour
制作:オーストリア、フランス、ドイツ/2012
URL:http://www.ai-movie.jp/
場所:新宿武蔵野館
病床の配偶者を殺してしまう事件はよく「介護疲れ」と理由を付けられて報道されるのだけれど、そのうちのいくつかは伴侶の人間としての「尊厳」をおもんぱかった殺人なんじゃないかとおもう。その過程をミヒャエル・ハネケは淡々と静かに丁寧に描いている。このような映画を観てしまえば、やっぱり自分の死に方がどうあるべきか考えてしまう。いろいろと問題点はあるのだろうけど自分としては安楽死には賛成で、リチャード・フライシャー監督のSF映画『ソイレント・グリーン』の中のエドワード・G・ロビンソンのように、老年と規定された年齢に達すれば「ホーム」(=公営安楽死施設)に行くことを自分の意思で決定できる世の中はそんなに悪くはないとはおもう。
脳の病気を患って、ひとつひとつと人間の機能が失われて行ってしまう様子を演じて見せたエマニュエル・リヴァが素晴らしかった。『世界にひとつのプレイブック』のジェニファー・ローレンスも良かったけど、アカデミー主演女優賞は彼女にあげたかった。
→ミヒャエル・ハネケ→ジャン=ルイ・トランティニャン→オーストリア、フランス、ドイツ/2012→新宿武蔵野館→★★★☆