監督:マシュー・ヴォーン
出演:コリン・ファース、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、ソフィア・ブテラ、マーク・ハミル、ソフィー・クックソン、エドワード・ホルクロフト、サマンサ・ウォーマック、ジェフ・ベル、ビョルン・フローバルグ、ハンナ・アルストロム、ジャック・ダベンポート
原題:Kingsman: The Secret Service
制作:イギリス/2014
URL:http://kingsman-movie.jp
場所:109シネマズ菖蒲
ショーン・コネリーが007を演っていたころのジェームズ・ボンドの映画には、ハリウッド映画の影響を受けながらどこかイギリスらしさが残っていて、その紳士を気取っていながら人間の底が知れてしまっているような陳腐さがモンティ・パイソン風に漂っているところが大好きだった。
ところが最近のダニエル・クレイグの007には、そんなイギリスらしさが、うっすらと残ってはいるものの、だいぶ少なくなってしまって、ハリウッドのアクション映画となんら変わりがなくなってしまっているところがとても残念だった。
マシュー・ヴォーンは、そんな現状の007を憂いつつ、昔のショーン・コネリーの007にオマージュを捧げる意味でこの『キングスマン』を作ったに違いない。それはこの映画の中に出てくる「昔の悪役は誇大妄想狂だった」と云うセリフにもはっきりと現れていた。ダニエル・クレイグの007に出てくる悪役には馬鹿げたところがまったくない。そんなイギリス的でないものを007と呼ぶには無理がある、とマシュー・ヴォーンはこの映画で語っているようだった。
また、ケン・ローチの映画などを見ればよくわかるように、イギリスには今もって階級制度が存在していることがよくわかる。その最下層の「Working Class(労働者階級)」に属している若い奴を主人公に持ってきているところもイギリス的で、そいつを『マイ・フェア・レディ』のように紳士に育てて行くところをスパイ映画に加味しているところも楽しかった。
プレミアリーグ好きとしては、エグジーの部屋にミルウォールFCのグッズがあるところに大笑いしてしまった。ああ、やっぱりミルウォールのファンは最下層だ!と。敵対するウェストハムのファン(オレだ!)も似たようなものだろうけど。
→マシュー・ヴォーン→コリン・ファース→イギリス/2014→109シネマズ菖蒲→★★★☆