山形国際ドキュメンタリー映画祭。今日観た映画は以下の通り。
●キム・ロンジノット監督『ドリームキャッチャー』(Dreamcatcher、イギリス、2015)
アメリカのシカゴで性暴力の被害女性たちを支援している団体「ドリームキャッチャー・ファウンデーション」を主宰しているブレンダを追いかける映画。フレデリック・ワイズマンの『パブリック・ハウジング』や『DV』を彷彿とさせる映画で、自分の生い立ちと似たような境遇の女性たちへの丁寧なサポートによって、次第に彼女たちからの信頼を得て行く様子がしっかりと記録されている。女性監督にしか撮ることのできない、女性に対するきめ細やかな素晴らしい映画だった。
●アッバース・ファーディル監督『祖国 ― イラク零年』(Homeland (Iraq Year Zero)、イラク、フランス、2015)
334分と言う長い映画だけど、アメリカを中心とした多国籍軍が進攻する前と後のバグダッドが比較できるところにその長さの意味があって、フセインやブッシュの所為だけにはできないイラクの複雑さがその長さのなかに見て取れるところもとても良かった。
進攻前を描く第一部で、この映画の中心に絶えずいる12歳の少年のハイダルに対して、さらりと、「ハイダルはアメリカ軍侵攻後に亡くなる」とテロップが出て、その小さなテロップを5時間半の最後まで引きずって観なければならないところも辛い映画。