監督:大根仁
出演:佐藤健、神木隆之介、小松菜奈、染谷将太、桐谷健太、新井浩文、皆川猿時、宮藤官九郎、山田孝之、リリー・フランキー
制作:「バクマン。」製作委員会/2015
URL:http://bakuman-movie.com
場所:109シネマズ木場
NHKのアニメーション版「バクマン。」が面白くて、そこから勢い込んでコミックに手を出したら、それは5巻くらいで頓挫してしまった。別につまらないわけではなくて、めちゃくちゃ面白いんだけど、最近はコミックを全巻通して読む気力がなくて、いつも途中で放り出してしまう。「ガラスの仮面」を一気に40巻くらいを読んだころが懐かしい。
映画版『バクマン。』は、その長い原作コミックをどのように1話完結にするのかがとても気になって、そこばかりを注視して観てしまったのだけれど、おどろくほどソツなくまとめられていた。登場人物を刈り込んで(香耶とか蒼樹紅とか)、真城最高、高木秋人と新妻エイジとのライバル関係を単純化させて、コミックではあまり前面に押し出されなかった「少年ジャンプ」のモットー「友情・努力・勝利」を柱にすっきりとしたコンパクトな作品に仕上がっていた。
でも、コミック「バクマン。」のどこが面白かったのかと云えば、真城最高、高木秋人と新妻エイジとのライバル関係も然る事ながら、「少年ジャンプ」の中に新しい漫画家が生まれて行く過程をリアルでディティール豊かに描いているところであって、特に「少年ジャンプ」の編集者・服部哲とともに真城最高、高木秋人がいかにして「少年ジャンプ」の中にポジションを確保して行くかの過程の描写にあったような気がする。1話完結にしなければならない縛りがあるとは云え、その部分があっさりとしているところがとても残念だった。王道か、邪道か、の苦悩はもうちょっと掘り下げても良かったかなあ。おそらく上映時間が2時間越えになるだろうけど。
→大根仁→佐藤健→「バクマン。」製作委員会/2015→109シネマズ木場→★★★